時よ止まれ!!

アメフト選手は時計を止めることが出来ます

もちろん超能力やマジックの話ではありません。日本のアメフトの試合時間は12分間 x 4回=合計48分間(アメリカでは60分間)ですが、試合時間の計測は様々なケースで停止します。主に以下の4つ。(企画の主旨に反しますがルールの話を少しだけ)

  1. タイムアウトをとったとき(前後半各3回)
  2. 1stダウンを獲得したとき
  3. パスが失敗したとき
  4. ボールがサイドラインから外に出たとき(転がって出ても、攻撃選手が持ったまま出ても)

この「時計が止まる」という特徴をうまく使って試合を進めることが非常に重要です。この意味ではアメフトのフィールドには相手チーム以外に時間という敵がいるのです。

ボールコントロール

点の取り合いを避けるため、攻撃時にあえて時計がとまらないようなプレー選択をして相手の攻撃時間を減らし、守備力で勝利するという考え方を「ボールコントロール」とよびます。サッカーやバスケットボールなど他のスポーツでも試合終盤にリードしているチームがパスを回し時間を潰すことはありますが、アメフトのボールコントロールオフェンスはより戦術的です。

また、粘り強い攻撃・強力な守備とともにボールコントロールに欠かせないのが確実なキッキングゲームです。パントで陣取り合戦を優位に進め、タッチダウンがとれなくても着実にフィールドゴールで点を重ねることが必要です。

ボールコントロールは一見地味ではありますが、安定したチーム力を築くスタイルとして確立されています。(例えば2010シーズン、シカゴベアーズはプレーオフ第2シード、NFCチャンピオンシップ出場)

最後のお楽しみ

試合終了間際になると攻守それぞれプレー選択が一変します。

守備チームがリードしている場合

攻撃チームは逆転するために、出来るかぎり時間を止めながら攻撃をします。(「2ミニッツオフェンス」とよぶこともあります)

  • 原則的に前に進むことよりも、時計を止めることと後ろに下がらないことを優先します。
  • サイドライン際のパスを多投し、パスキャッチ後はすぐに外に出る。
  • ランも速いタイミングでサイドライン方向に向かって走るプレーを選択する。
  • QBは作戦を攻撃選手に伝えるための円陣(ハドル)をやめ、作戦を声に出して暗号で伝えます。
    これをノーハドルオフェンスとよびます。ノーハドルオフェンスには守備に考える隙を与えないという別のメリットもあります。
  • 仮にフィールド内で倒され時計が止まらない場合には、攻撃チームはタイムアウトをとります。
  • タイムアウトを使い切ったあとは、1回分の攻撃を使ってQBが地面にボールを投げつけます。これはスパイクといってパス失敗となるため時計を止めることができます。

守備チームは逆に時計を進めるため、なるべくボールを持った攻撃選手をサイドラインから出さないように外側から包み込むように守ります。また短いパスには過敏に反応せず、ロングパスや1stダウン獲得を警戒します。

攻撃チームがリードしている場合

攻撃チームはフィールド中央のランプレーを多用し、時間を使いながらボールを進めます。ただし1stダウンを更新できなければ相手チームに攻撃権を渡してしまうので単調なラン攻撃のみというわけにはいかずこれはこれで難しい局面ではあります。

守備チームはタイムアウト以外で時計をとめることは難しいです。相手に1stダウンを更新させず、早く攻撃権を得ることが基本ですが、インターセプト(パスを守備選手がキャッチ)やファンブルリカバー(タックルにより攻撃選手が落としたボールを守備選手が抑える)を狙った積極守備をとることもあります。

時計を見よう

このように時計がとまるがゆえに様々な攻め方・守り方が生まれ、それがよりフットボールを面白いものにしています。第4クォーターになったら是非時計を気にしながら観戦するようにしてみてください。