ニセモノがわかればホンモノ

観戦中にボールがどこにあるのか分からないままプレーが終わっているということはありませんか?

攻撃チームは守備チームの目を欺くため一つのプレーの中で、最終的な攻撃を仕掛ける前に、いろいろな「ふり」をします。この「ふり」のことをアメリカンフットボールでは fake フェイク(ニセモノという意味)と呼びます。サッカーやバレーボールのフェイントとほぼ同じ意味です。ただし他のスポーツでは主に個人技として使われるフェイントと違い、アメリカンフットボールの場合、チーム全員がフェイクを行います。フェイクには典型的なパターンがいくつかありますので、よく使われるものを紹介します。フェイクのことを少し気にしながら観るとゲームがぐっと面白くなります。

「カウンター」:右のふりして左(もしくはその逆)

カウンタープレーとは文字通り、攻撃チームが左右どちらかに動き出した後、逆の方向に走るランプレーです。ランニングバックのスピードが速ければ速いほど守備選手も速く動こうとするためカウンタープレーが効果的です。

「ドロー」:パスのふりしてラン

守備選手はパスを防ぐために、実際にパスが投げられる前に自分のパス守備位置にできるだけ早く下がるか、自分がマークするレシーバーについていこうとします。ドロープレーはこの守備選手の動きを利用するランプレーです。攻撃選手は最初の数秒間パスと同じような動作(フェイク)をしたあとランプレーを行います。守備選手はパス守備に集中していますし、ボールをもったバックの選手が攻撃ラインの影になったりするのでドロープレーの判断が一瞬遅れることがあり、ロングゲインが産まれることもよくあります。観客のみなさんは攻撃チームの進行方向に対して横から観ていると思いますので、ドローがあるかもしれないと思いながらQBを観ていると案外ドロープレーに気づくかもしれません。

「プレーアクションパス」:ランのふりしてパス

ドローとは逆にランのフェイクをして前に上がってきた守備選手の後ろを狙うパスをプレーアクションパスとよびます。こちらはドロープレーに比べると観客席から判断しにくいかもしれません。NFLテレビ中継でもカメラがフェイクに引っ掛かってしまうことがあったりします。またQBは通常のランプレーのときも、プレーアクションパスに備えて「プレーアクションパスのふり」をします。(ややこしいですが、ランのふりのパス、のふり)

「パントフェイクプレー」:パントをけるふりをしてラン or パス

3回の攻撃で合計10ヤード進まなかった場合には通常ボールをけって陣地を挽回し、攻守が交代します。これをパントとよびます。ただしゲームの流れからどうしても攻撃を続けたい場合、4回目もパントをけらずにプレーを行うことがあります。これを4th ダウンギャンブルといいます。失敗すると陣地を挽回することなくその場で相手の攻撃になることからハイリスク・ハイリターンという意味をこめて「ギャンブル」とよんでいます。ギャンブルは3回目までと同じように普通の隊形にセットしてから始めることがおおいですが、まれギャンブルの素振りを全くみせずにパントを蹴るフェイクからパンターが走ったり、パスを投げたりすることがあります。

このようにアメリカンフットボールの攻撃プレーには必ずそのプレーをフェイクにした別のプレーが存在するといっても過言ではありません。観戦の際にはぜひ守備選手になったつもりでフェイクにひっかからないように選手の動きに注目してみてください。きっと新しい発見があると思います。